両リーグ最速の10セーブだ。雄たけびを上げながら、巨人沢村拓一投手(27)が右拳を突き上げた。1-0の9回に登板。2死三塁の一打同点のピンチを招いたが、代打伊藤隼を二ゴロに仕留めた。「僕の仕事は、どんな状況でもアウトを3つ取ること」。ミッションを果たした満足感は、この一瞬だけ。誰よりも早く節目の2ケタを迎えたことに「数字に関しては何にも考えていません」と冷静に受け止めた。
転向1年目を、決意を持って務めている。長い回を投げる先発から、最終回に勝利のバトンを託されるクローザー。求められる役割が大きく変化した。日々の調整など慣れないことが多いが「自分の仕事をやるのは当たり前」と言い訳はしない。「ここが僕の生きていくところ」と胸を張る。
守護神として生きていく覚悟が「剛腕」に「繊細さ」を備えさせた。経験豊富な捕手実松は「空振りが欲しい場面で内野ゴロになった時に『さっきは空振りでしたね。すみません』って。考えて投げてくれている」と目を細める。リリーフは、たった1球で勝敗が分かれる。剛速球で攻め込む昨年までの姿に加え、捕手の意図をくみ取りながら、低めに集めるスタイルへと変貌している。斎藤投手コーチも「『えい、やー!』ってわけにはいかないポジション。真っすぐだけじゃない。丁寧に投げている」と、成長を見て取った。
チームの今季17勝中10勝を締めた沢村だが「年間を通して戦うことが大事」と当然のように言った。球団の最多セーブ記録は、13年西村の42。頼もしさを増しながら、1歩ずつ近づいていく。【浜本卓也】



