元横綱朝青龍のおいが出た、番付外の前相撲が終わった後、初場所6日目の最初の取組で“記録”が生まれた。西序ノ口24枚目服部桜(19=式秀)が負けた。両上手を引き粘ったが、寄り切られた。70連敗。「数字は頭にはありました。勝ちたくて、左上手を取りにいったけど…」。双葉山の不滅の69連勝を、序ノ口の連敗で超えてしまった。

 15年九州場所の序ノ口デビューから16年夏場所6日目に初白星を挙げたが、通算成績1勝92敗1休。引き技で負けたのは16年秋場所3日目の引き落とし1度だけ。ほぼ全部、体力負けだ。身長180センチだが、入門時の体重は65キロ。75キロだった昨年秋場所後、師匠の式秀親方(元前頭北桜)に「10キロ太れ!」と言われ、3度の食事、コンビニおにぎりの間食で現在83キロ。だが、まだまだだ。

 神奈川・茅ケ崎市立梅田中卒業後、7歳から憧れた角界へ。同親方は、親に黙ってやってきた少年を1度追い返し、母親連れの2度目の志願で折れた。「情熱を感じました。今は『2年前の自分より強くなってるぞ』と言い聞かせてね。逃げるのが一番の負けですから」。くしくも部屋には、先代式秀親方(元小結大潮)の師匠双葉山の写真が飾られてある。“最強の人”に見守られ、服部桜は2勝目を目指す。【加藤裕一】