無敗だった「2強」に波乱が起こった。綱とりに挑む大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が西前頭筆頭の栃煌山に突き落としで敗れた。痛い初黒星を喫したが、続く横綱白鵬(31)も西前頭2枚目の宝富士に小手投げで敗れた。連勝は33でストップ。大関照ノ富士らも敗れ、全勝は平幕逸ノ城ただ1人となった。5日目で平幕が単独トップに立つのは10年九州の翔天狼以来。優勝争いが早くも混沌(こんとん)とし始めた。
1度は落とされた地獄から、救われた気分だろうか。悲願の綱とりへ、負けてはいけない序盤で喫した初黒星。稀勢の里は首を振り、口を真一文字に結んで引き揚げた。早くも絶望を感じていたかもしれない。だが、その5分半後。今度は白鵬が土俵に転がっていた。優勝への最大の壁となる横綱と、差はつかない。「集中して。また明日からですね」と気を取り直した。
相撲自体には、落とし穴があった。この4日間のような左四つに組めないと見るや、突き、押しに徹した。栃煌山を正面に見据えて放つが、上体が高く、どこか押し切れない。最後、右が入った瞬間に体が崩れて、足がついていかなかった。土俵外に転がり落ちた。
5日目という序盤最後の日。実は12年初場所の大関昇進後、28場所で11敗目と、上位戦となる12日目以降を除くと一番負けが多い。白鵬の負けで生き延びた感はあるが、さらなる上を目指す上では、超えなければいけない日でもあった。
「切り替えて。また明日、頑張ります」。去り際、自身の取組のVTRにじっと目をやった。序盤を取りこぼしなく乗り越えることはできなかったが、上位陣の無敗は消えて、全勝は平幕逸ノ城ただ1人。賜杯の行方は混迷の様相を呈してきた。相撲の神様はまだ、稀勢の里を見捨ててはいない。【今村健人】
八角理事長(元横綱北勝海)のコメント 稀勢の里は張りにいったあたりで冷静さを失っていた。上体ばかりで行って足がおろそかになっていた。最後は勝ち急ぎか。それまでの攻防で膝も伸びてしまった。白鵬も負けたことは、前向きにとらえていいと思う。ツキはある。

