関脇経験者で西幕下35枚目の豊ノ島(34=時津風)が、今場所の5番相撲で“親子2代対決”を制し勝ち越しを決めた。

 元関脇琴ノ若の佐渡ケ嶽親方(49)の息子で、西幕下36枚目の琴鎌谷(20=佐渡ケ嶽)と対戦。一回り以上も年下と若い相手に、左を差すと一気に土俵を走り、寄り切りで快勝。黒星発進からの4連勝で、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。

 会心の相撲に「言うことない。体の寄せ方も良かったし、3連勝した相撲が良かったから前に出る相撲を心がけました」と振り返った。稽古場では幕内力士の正代(26)を一気に出すこともあり「正代を持って行けて、幕下力士を持っていけないことはない」と稽古場の自信を、そのまま本場所の土俵で示した。

 今から約13年前の05年秋場所。十両時代の豊ノ島は幕内の琴ノ若と初対戦。押し出しで破ると、翌11月の九州場所9日目には幕内初対戦。この時も寄り切りで勝ち、琴ノ若はこの場所を最後に引退した。その博多に当時、小学生だった琴鎌谷の鎌谷将且少年も訪れ、13日目の父最後の相撲を目に焼き付けた。

 当時、小学生だったその琴鎌谷と、約13年の時を経てプロの土俵で対戦。かつて横綱千代の富士が、大関貴ノ花とその息子の貴花田(後の横綱貴乃花)と“親子2代対決”したように、豊ノ島も時代の流れを実感。「年数を長くやっている感覚を、よけいに感じました。親子と対戦するというのは、それだけ長くやっているというね。まあ、親方に勝っていて息子に負けるわけにはいかないからね」と勝ち越しの喜びも込めた笑みを浮かべていた。