関脇御嶽海(29=出羽海)が、大関正代を寄り切りで破って10勝目を挙げて、大関とりの足固めを作った。

自身初となる三役での2場所連続2桁白星。大関とりとなる春場所(3月13日初日、エディオンアリーナ大阪)に向けて、さらに白星を上積みして勢いをつける。1敗を守り、横綱照ノ富士と並走。自身3度目の優勝に向けても突き進む。

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御嶽海が大関に力勝ちした。互いに力強く踏み込んだ立ち合いで、右を差して先手を取った。一気に土俵際に追い込むも、正代が必死の抵抗。押し返されて左上手を許したが、一切引かなかった。右を深く差してまわしを取り、もろ差しになってさらに前へ。再度、土俵際へ追い込み、正代に反撃を許さずに力強く寄り切った。前日10日目の初黒星を引きずらず。「本当に緊張した。四つになったけど、前に出る意識があったのでああいう結果になった」と手応えを口にした。

ついに目標に手が届いた。関脇だった昨年11月の九州場所での11勝に続く2桁白星。三役での2場所連続2桁白星は初めてで、これで翌春場所での大関とりの足固めが出来た。場所前から意識してきた数字を達成し、大相撲中継のインタビューでは今場所初めて笑みが出た。「素直にうれしいです。2場所連続はこれまでになかったので。目標にしている2桁、それだけを意識して取りました」と強い思いを持って土俵に上がっていた。

大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」で、11日目を終えた時点で先場所との合計は21勝となった。さらなる上積みを狙う、残り4日間。優勝争いでも照ノ富士と並走でトップに立つが「自分の相撲を取るだけです」と3度目の優勝は意識せず。今は「自分の相撲、引かない相撲を取ればつながる。1日一番、1日1勝を目指したい」と自然体で臨むことを意識している。

幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)は「(2場所連続2桁白星が)これまでになかったのが不思議なぐらいの実力者。安定感が出てきたから取りこぼしがなくなっている。自信もついていると思う」と評価。大関候補と呼ばれ続けてきた御嶽海が、ついに大関昇進を見据えて土俵に上がる。【佐々木隆史】