俳優村上淳(43)と歌手UA(45)の間に生まれ、芸能界は身近だった。しかし興味はなかった。「面倒くさいじゃないですか、有名人になるって。両親がそうだったんで」。東日本大震災を機に沖縄へ移住し1年間過ごし、高1でカナダ・モントリオールに留学した。音楽や映画にあふれた芸術の街に刺激を受けた。帰国後、母の友人でもあった河瀬直美監督からオーディションを勧められ受けてみた。デビュー作にして主演した「2つ目の窓」で、いきなりカンヌ映画祭に参加した。はからずも両親と同じ世界に飛び込んだ。

 役者としての父は「得手不得手の激しい魅力的な人」と感じている。「息子からすると、おやじ役とかだと、へたくそだなと思うんですよ。でもオヤジらしい役はあって、そういう役見るとすげえなと思うし、勝てねえと思うこともある」。しかし目標は、父さえも超えたその先だ。「誰もやったことないことやりたい、俳優としても人としても。人をなぞってても、何の面白みもないじゃないですか」。虹郎らしいひと言だった。【杉山理紗】

 ◆村上虹郎(むらかみ・にじろう)1997年(平9)3月17日、東京都生まれ。14年映画「2つ目の窓」で主演を務め、芸能界&俳優デビュー。同作でカンヌ映画祭に参加。15年フジテレビ系「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」でドラマ初主演。代表作にTBS系ドラマ「仰げば尊し」、16年映画「ディストラクション・ベイビーズ」など。趣味は水泳、ギター、剣道、乗馬など。

 ◆上海国際映画祭 今年で20回目で17日から26日まで開催。期間中に約500本が上映。中国では日本映画が人気で、映画祭で57本、映画祭と並行して行われている「日中映画週間」には8本が出品されている。コンペティション部門に「追憶」「夜明け告げるルーのうた」。アジア新人コンペ部門では斎藤工が監督デビュー作「blank13」で最優秀監督賞を受賞。