小野花梨(24)が16日、東京・ポレポレ東中野で行われた主演の短編映画「ほどけそうな、息」(小澤雅人監督、9月3日公開)完成披露上映イベントで、児童相談所(児相)への理解を訴えた。

小野は劇中で、児相に勤務して2年目のカスミを演じた。劇中では、ともに登壇した月船さらら(47)演じる、アルコール依存症とネグレクト(育児放棄)が疑われた母のシノブ(月船さらら)と9歳の娘ヒナ(佐藤璃音)のケースを受け持つなど、複雑な事情を持つ家族、家庭に踏み込んでいくシーンを多く演じた。そのことを踏まえ「やはり、あまりにも立場上、言えないことが多い中で、ちゃんと動いていたのか、児相? などと報じられることも多い」と、児童虐待事件などの報道の際、児相が批判の矢面に立たされる現状について触れた。

その上で「(児相の)内情を知るとともに、矢面に立ちながら、家庭環境まで助け舟を出さなければならない立場で…簡単に言ってしまうと、感謝される場面が少ないと感じた。愛のある職業が、何でフィーチャーされないんだろうという、もどかしさがあった」と本音を口にした。

「ほどけそうな、息」は、小澤雅人監督が児童相談所で働く複数の児童福祉司への取材を行い、実話をベースに製作。児童相談所に寄せられる案件や、そこで働く児童福祉司のリアルな姿を描いた。カスミ(小野)は、赤ちゃんを母親の元から引き離して一時保護したり、親たちに理不尽に怒鳴られたりする日々に疑問を感じながらも何とか踏ん張っていた。その中、一時保護されたヒナの父トオル(古山憲太郎)は、仕事で留守がちで、シノブともども反省している様子だったが、カスミは感情的になりシノブの信頼を失ってしまう。悩みながらも、傷ついた子どもたちを救うために奔走し成長していくカスミと彼女を取り巻く周囲の人々を描く。

月船も「虐待したであろう人を演じて…一概に責められるべきではない部分もある。彼女には彼女なりの理由、頑張っているけど、出来ない部分があり、助け、理解がすごく必要と絵にて実感しました」と演じた役どころを踏まえ、児相が関わる家庭、親の側への理解の必要性もあると強調。その上で「児相の方に助けられる一面も感じ…自分も知っていなかったので、自分も反省しながら知っていかなければいけないと思いました」とわが身を省みた。

この日のイベントには、児相の関係者も足を運んでいたという。小野は舞台あいさつの最後に「テレビで悲しいニュースを見る度に、なぜ減らないのかと思っていた。私自身も勉強になりました。今日(客席には)プロの方が多いと思います。私たちが、どれだけ緻密に表現できたかは分かりませんが、皆さんのご苦労が少しでも、もっともっと人に、世間に伝わるような…そのことで救われる人、組織が少しでもあればいいなと思って演じさせていただきました」と客席に呼びかけた。そして「(上映は)この映画館しかやらないのですが、1人でも多くの方に届いて欲しい」と、作品が多くの人に広がることを願った。