歌舞伎俳優中村鴈治郎(67)、中村壱太郎(35)親子が23日、京都市のMOVIX京都でシネマ歌舞伎「曽根崎心中」(4月10日公開)の舞台あいさつ付き完成披露上映会に出席した。

近松門左衛門が描いた、お初と徳兵衛の美しくも悲劇的なラブストーリー。人間国宝の坂田藤十郎さんと鴈治郎が出演した舞台がシネマ歌舞伎化された。藤十郎さんはお初を当たり役にしており、生涯で1400回以上つとめた。シネマ歌舞伎になった舞台は09年上演のもので、鴈治郎が徳兵衛をつとめた。

鴈治郎は映画「国宝」で歌舞伎指導を、壱太郎も演目の選定や踊りの指導に関わった。さらに壱太郎は3月の南座で「曽根崎心中物語」に出演中で縁が深い。

映画の舞台あいさつは初めてだという鴈治郎が「曽根崎心中がシネマ歌舞伎になって、一番喜んでいるのは父ではないか」と思いをはせると、南座で「曽根崎心中物語」に出演後に駆けつけた壱太郎も「今日3回目の曾根崎心中です」と笑いを取りながら、「父が言っていたように一番喜んでいるのは祖父だと思う。公演もそうですが、今の『国宝』の流れに感謝しております」と頭を下げた。

鴈治郎も「『国宝』で横浜流星、吉沢亮。彼らに手本として、見せたビデオがまさにこれ。それが映画化された。彼ら2人の手本になったのがこの映画。それを皆さんに全部見ていただく」と、国宝の役づくりに大きな影響を与えたことを明かした。

「国宝」は第49回日本アカデミー賞で、10部門で最優秀賞を受賞した。

鴈治郎は「とにかくやったことが報われたという思い。2年前ですもんね。撮ってたのが。こないだのようで、もう2年。まさかこんなことになるとは思わなかった。みんなでやったことが報われた。私、役者を辞めて映画の世界に入ろうかと」とジョーク交じりに笑顔。

その上で、「曽根崎心中」について、「映像として父坂田藤十郎の映像が残っているのはうれしい。皆さんの目に焼き付けて、曽根崎心中がこんないい物語だと伝えていただきたい。ぜひ、国宝以上のヒットを」と期待していた。