東京オリンピック(五輪)に臨む侍ジャパンに選出された広島の4選手が18日、仙台で強化合宿に臨む代表チームに合流した。球宴に出場した森下暢仁投手(23)と栗林良吏投手(25)、菊池涼介内野手(31)、鈴木誠也外野手(26)で、第2戦の開催地・仙台に残留していた。後半戦に備えて4日ぶりに練習を再開したチームを離れ、広島から世界へ-。金メダルを懸けた戦いに向けて、合宿は19日から始まる。

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広島から日の丸を背負う侍4戦士が、19日から金メダルに向けた調整に入る。前半戦で苦戦したチームをけん引した中心選手たちが、今度は東京五輪に挑む。佐々岡監督は「日本代表でもあり、カープの代表でもある。厳しい戦いにはなると思うけど、金メダルをとって帰ってきてほしい」とエールを送った。

広島の主砲鈴木誠は、侍ジャパンの4番候補でもある。選手としての成長は国際大会でも見られる。14年のU21W杯では首位打者を獲得し、17年は22歳でWBCに出場。19年プレミア12では全試合4番で、MVPを受賞した。喜びの裏で苦しさや難しさを味わっただけに、合宿を前に足元を見つめる。「他の国も相当に力を入れてくると思うので、前回(のプレミア12)は忘れて、また一から挑戦者のつもりで臨めばいいんじゃないかと思います」。気持ちを新たに侍のユニホームに袖を通す。

長く侍のレギュラーとしてプレーする菊池涼もまた、国際経験が豊富だ。「WBCを経験しているとはいえ、五輪はまた違う。野球だけでなく、すべての競技の国際大会。また注目度も違うので、すごいプレッシャーがある」。初体験となる五輪でも、攻守の要であり、そしてムードメーカーであり続ける。「今までやってきたことを変えずに、いつも通りの自分でいられればと思います」。いつもと変わらぬ言動が平常心を生み、チームに安心感を与える。

経験ある野手2人とは対照的に、森下と栗林の両投手はプロでは侍初選出となった。森下はプロ2年目の今季、新型コロナウイルスの濃厚接触者としての隔離期間、それに伴う再調整期間を余儀なくされながら、6勝4敗、防御率2・29。全登板13試合のうち12試合でクオリティースタート(6回以上、自責3以内)を達成という抜群の安定感を誇った。「やるだけだと思います。与えられた場面でしっかり結果を出せるようにやっていきたい」。先発の一角として、その右腕にかかる期待は高い。

名城大時代に、明大の森下とともに日本代表を経験した栗林は「チームの勝利に貢献できるように頑張りたい」と意気込む。新人ながら前半戦だけでリーグ2位の18セーブをマーク。防御率0・53で奪三振率14・44という数字を残した強力リリーバーが侍の救援陣を支える。中軸に攻守の要、そして先発に勝ちパターンと、日本代表でも骨格を担う4選手が、いよいよ広島から世界の舞台に立つ。【前原淳】