人気種目の競泳が、24日から始まる。テレビ中継の画面では、選手とともにプールの上をすーっと移動していく世界記録などを示すラインがおなじみ。この「世界記録ライン」を初めて導入したテレビ朝日のスポーツ局スポーツセンターの中川雅史ゼネラルプロデューサーに事情を聞いた。

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-競泳中継のテレビ画面では、泳ぐ選手の少し前を世界記録などに合わせてラインが動いていきます。2001年の世界水泳でテレビ朝日が初めて導入し、国際水連(FINA)が「画期的だ!」と評価したと聞きました。導入のきっかけは

2001年世界水泳の放送をテレビ朝日が始めた当時、日本選手がオリンピック(五輪)や世界水泳でのメダル数は決して多いとは言えませんでした。そして、競泳は選手が泳いでしまうと顔が見えないスポーツということもあり、視聴者の方にとって少しでも分かりやすく伝えるために創意工夫を重ねてきました。

まずは、どのコースに、どの国の選手が泳いでいるのかが分かるように、コース上に各選手の国旗と名前をバーチャルで出せるようにしました。さらに、記録とも闘っている選手を、世界記録をバーチャルラインとして可視化することで、競泳の新しい魅力を引き出すことを考えて実現しました。

結果として、国際水泳連盟からは、01年世界水泳のテレビ朝日が制作した映像が水泳中継のワールドスタンダードになっていると言っていただいております。

-あのラインに名前はありますか

国際水連で採用されて以降、ワールドレコードラインと呼ばれています。バーチャル技術を駆使して、世界記録と同じタイム設定で線を動かして、画面上に表示しています。

-技術的な難しさはありますか

世界記録は100分の1秒の世界で競うため少しの誤差も許されません。タイム情報をデータとして受け取り、それをタイムラグなく実際に選手たちが泳いでいるライブの映像に表示するところに技術的な難しさがあります。

-24日の放送ではどうなりますか

五輪は公式の国際映像をオリンピック放送機構(OBS)が制作しています。日本のテレビ局は、その国際映像をもとに放送を行っていきます。今回の中継でも世界記録ラインは表示される予定です。

-今回の五輪で、新たな技術、放送内での企画などありますか

OBSと公式計時を担当するオメガからは、選手たちの泳ぐスピードを表示する試みを検討していると聞いています。テレビ朝日でも2016年に実用化した技術で、五輪では初の採用となります。

-放送のPRを

競泳の初日となる24日は、白血病から奇跡の復活を見せた池江璃花子選手が400メートルリレーに出場します。また、400メートル個人メドレーには瀬戸大也選手、大橋悠依選手らメダル候補が登場します! 北島康介2世といわれる20歳の佐藤翔馬選手の100メートル平泳ぎにも注目が集まります。競泳初日から、注目レースがめじろ押しです!