MF福田晃斗(27)が「雑草魂」で、鳥栖ひと筋7年目の今季も献身している。初めて主将になった今季。9月18日の天皇杯4回戦、C大阪戦も後半途中出場で4-2の勝利に貢献だ。2-2の同36分、左クロスをゴールラインギリギリで折り返し、勝ち越しゴールをお膳立て。福田らしい泥臭い執念のプレーだった。

「プラチナ世代」と呼ばれる元日本代表G大阪FW宇佐美貴史(27)や9月10日の22年W杯アジア2次予選のミャンマー戦に出場したデポルティボMF柴崎岳(27)らと同じ1992年生まれ。だが世代別代表として活躍してきた宇佐美らに比べ、福田は無名の存在で「目標というか、そういう存在になりたいと思う気持ちでやって来ました」という。座右の銘「努力しても成功するとは限らないが、成功している人は努力をしている」をモットーに努力を重ねてきた苦労人だ。

エリートではない。だからこそコツコツと努力を重ねた。「雑草魂」で今日の福田がある。3兄弟の末っ子で、父や兄2人は野球部出身。野球をするのが自然の流れでもあったが、6歳から始めたサッカーにのめりこんだ。中学は名古屋ジュニアユースに所属したため、三重県から週5日通う日々で、うち週2日は塾に通っていたという。

それでも大好きなサッカーのためには、妥協は許さなかった。「身体能力は負けているんで」という170センチの小柄な体格を補うため、中学時代の指導者からの「サッカーはずっと頭で考えながらやるもの。そこをやれば負けない」との教えを意識し、視野の広さを身につけた。

三重・四日市中央工では3年連続で全国高校選手権大会に出場し、高3で主将も務めた。鹿屋体育大3年から鳥栖の特別指定選手に登録された。サッカーを愛する純粋な心で、今後の活躍を祈る。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球などのカメラマンも兼務する「二刀流記者」。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。