<サッカーワールドカップ(W杯)アジア2次予選:日本3-0タジキスタン>◇F組◇15日◇タジキスタン

日刊スポーツのサッカー担当記者が独自の視点で日本代表を掘り下げる「Nikkan eye」。

今回は、森保ジャパンにおける2トップの可能性について考察する。2列目の3人に1トップ。現体制を象徴する攻撃ユニットになりつつあるこの形を、あえて崩してみてはどうか。不動の1トップであるFW大迫を欠く戦いを見る中で、新たなオプションになる匂いを感じた。

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15日のW杯アジア2次予選タジキスタン戦は苦しい戦いだった。光明が見えたのは1トップのFW鎌田とトップ下のMF南野の位置を交換した後半から。森保監督も黙認した2人の判断で入れ替わり、後半に南野が2得点を挙げた。FW経験もある南野と、トップ下を主戦場とする鎌田。より分厚い攻撃を実現させるべく提言したいのが、2トップへの可能性だ。

森保監督は前任の西野監督の流れをくみ、就任当初から、今回は不在だったFW大迫を1トップに置く、4-2-3-1の縦型2トップとも言える形を本流として長く戦ってきた。就任から約1年がたち、南野はタジキスタン戦の2得点で森保ジャパントップの10得点を挙げた。決定力は覚醒中。だからこそ大迫、南野の横並びの2トップを試したチームが見たい。4-4-2の布陣で中盤の左に中島、右に堂安。1トップとトップ下の位置関係は紙一重だが、南野をMFではなく“FW”として置く精神的な変化は意外と大きいとみる。大迫がいない、または徹底マークにあうなどした場合、彼頼みの状況をどう打破するか。負担を減らすという意味でも、2トップは有効なはずだ。

森保ジャパンにおける1トップに2列目3枚の配置は象徴的な攻撃ユニットだ。2列目左に右利きの中島、右に左利きの堂安を配置し、中に切り込んだ場合はカットインからシュート、または空いたサイドのスペースに長友、酒井が走り込んでクロス。得点の多くはこの形がうまくかみ合った時だ。タジキスタン戦も3得点ともにクロスから。この試合では相手のマークが緩かったが、最終予選以降はそうはいかない。1トップの場合、中盤の選手がクロスに間に合わず、中に大迫しかいない場面がこれまでもあった。FWという役回りを増やしてゴール前への意識を高めると、より日本のサイド攻撃が生きるとみる。

2トップの組み合わせには夢が広がる。大迫のポストプレーとFW浅野や永井のスピードを組み合わせても面白いし、シュート技術の高いMF久保建をFWに配置するという手もある。中央からでもサイドからでも。手がつけられない攻撃で、世界を驚かせる日本が見たい。【松尾幸之介】