ファンと交流を図るオンラインイベントが、スポーツ界で広がっている。サッカーやバドミントンなどのアスリートが、既に取り組み好評だ。コロナ禍で普及した動きだが、オンラインファン感謝祭を企画したバレーボールのVリーグ男子2部(V2)のヴィアティン三重は終息後も続ける考えだ。チームディレクターの椎葉誠さんは「遠方のファンにとって、選手と交流する機会になっています」と手応えを感じている。

V2は2月末に打ち切りとなり、初参戦の三重は今季6位で終えた。例年シーズン終了後に行っていたファン感謝祭は、新型コロナの影響で開催できない状況だ。ファンに今季の結果報告や交流する機会を作ろうと、椎葉さんがオンラインでの開催を提案。選手、監督、コーチ計21人が日替わりで登場するイベントを計画した。15~20日に全10回行われ、計約70人が参加した。

椎葉さんによると、参加したファンから今後も続けて欲しいという要望が相次いでいるという。ファン感謝祭はこれまで土日に行われ、遠方から来る人にとって参加しづらいとの声が少なくなかった。今回は北海道や鹿児島県など県外参加者もおり、椎葉さんは「オンラインなら都合を合わせやすいようです」と分析する。

選手からの評判も上々だ。今季で現役引退したキャプテンの田中一彰(31)は、集まったファンに引退の理由を語る機会になったと感謝している。「2、3カ月以上ファンと会えてないので、こういった機会は大切。盛り上がって時間が足りないほどでした」と振り返る。

三重は会場を借りて行われる従来のファン感謝祭のほか、今後はオンラインイベントに力を入れる考えだ。田中は「選手とファンが直接会えるのが1番だけど、ファンの負担を考えると今後もあった方が良い」と話す。「一緒に試合を見るだけでもファンにとっては、貴重な体験です」と訴える。

オンラインを活用したイベントは、バレーボール界だけではない。J1横浜F・マリノス選手発案の配信イベントやバドミントン男子シングルスの桃田賢斗のインスタライブなど、他のスポーツ界でも広がりを見せている。選手同士でゲーム対決をしたり、子どもたちからの質問に答えたり。ファンを楽しませようと、工夫を凝らした企画が目立つのも大きな特徴だ。

椎葉さんは「(オンラインイベントは)チームのことをもっと知ってもらう上で、とても有効です」と強調する。ファンとの距離感を縮めるだけではなく新規ファン開拓に向けた新たな試みが、コロナ終息後どうなるのか。今後も引き続き注目するつもりだ。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)