日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(64)が14日、都内で定例会見を開き、札幌市が招致を目指す30年の冬季オリンピック(五輪)に関して「IOC(国際オリンピック委員会)が支持率を重視しているのは事実。今のままでは厳しいという認識だ」と危機感を口にした。

シンプルに単刀直入、なぜ五輪を日本で開催したいのか。この問いには「さまざまな国際大会を招致し、オリンピズムが浸透した社会を目指していく。今の時点で、その努力をやめることは考えられない。ご理解いただけるとありがたい」と回答した。

札幌市議会が、開催の賛否を問う住民投票実施の条例案を否決したことには「意向調査以外にも、いろいろな形がある。IOCが独自で意向(支持率)調査をするとも聞いている」と話すにとどめた。

札幌市が3月に行った市民、道民の意向調査では「賛成」「どちらかといえば賛成」が郵送調査で52・2%、インターネット調査で62・1%、街頭調査で65・7%と全て過半数を上回った。一方で「反対」「どちらかといえば反対」もそれぞれ38・2%、26・2%、26・2%だった。

山下会長は「過半数の賛成を得たところは評価したいが、否定的な方が一定数いたことも重要視しないといけない。招致成功には機運醸成、支持率を高められるかどうかが大きなポイントになる。昨夏の東京2020大会の反省、教訓、経験を生かして、大会の開催意義をさらに伝えていく努力が必要」と話した。

その民意を問う方策を問われると「さまざまな面から」とだけ答えた。