8チームが2組に分かれた予選リーグの各組1、2位による準決勝で、連覇を目指す沖縄ハリケーンズが65-36で北海道ビッグディッパーズを、ブリッツ(東京)が56-50でアックス(埼玉)を破って決勝進出を決めた。

 車いすラグビーは上肢、下肢ともに障害のある選手が車いすに乗ってプレーする。障害の程度・状態によって選手は0・5点から3・5点の持ち点がある。コートでプレーする4人の合計が8点以内でなければならない。

 日本は昨年のリオデジャネイロ・パラリンピックで銅メダルを獲得した。それ以降、ミドルポインターと呼ばれる2・0の選手たちの勢いが止まらない。今大会でもミドルポインターの選手数が最も多い。初出場の東北ストーマーズでは、2・0の選手4人が同時にプレーする場面が何度も見られた。

 その中でも決勝に進んだブリッツの主将・菅野元揮(25=LINE)が光った。小学3年からアルペンスキーに取り組み、中学3年時にスーパー大回転のトレーニングランで転倒して頸椎(けいつい)を損傷。高校2年で車いすラグビーに出会った。当初は横浜のチームに所属していたが、多くの日本代表を輩出してきたブリッツのオファーを受け、大学1年の時に移籍。リオ・パラリンピック出場を目指したが、かなわなかった。

 「リオで日本が銅メダルを獲得しましたが、自分だったらどんなプレーができたか、ということをずっと考えながら映像を見ていました」と、菅野は冷静に自分を見つめ直した。武器はパワーとスピード。トレーニングジムで毎日のようにウエートトレに励んでいる。栄養管理を徹底した食事で筋肉増量を図っている。「海外選手の当たりに負けない体をつくることは優先課題です」という。

 予選B組1位をかけた最終戦で、日本代表のエース池崎大輔(39=三菱商事)の北海道ビッグディッパーズと対戦。前半の競り合いから後半に一気に突き放した。菅野はベテランのチームメートと素早いパスワークで勝利に貢献した。

 「コートを広く使うポジション取りでパスをつないでいけば、チームは機能する。どうすれば勝てるかを常に考え試合をコントロールしていきたい」と17日の決勝へ意欲を見せた。【宮崎恵理】