陸上男子200メートルで日本は3人とも予選敗退となった。日本歴代2位の20秒08の自己ベストを持つサニブラウン・ハキーム(22=タンブルウィードTC)は21秒41(追い風0・9メートル)の2組6着に沈んだ。飯塚翔太(30=ミズノ)は21秒02(向かい風0・3メートル)の1組6着、山下潤(23=ANA)は20秒78(向かい風0・6メートル)の3組5着だった。日本勢は100メートルも準決勝へ誰も進めておらず、世界の壁にはね返された。

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いつもは平然としているサニブラウンがショックを隠せなかった。21秒41は自己記録から1・3秒以上遅れ、失格者を除き2組の最下位。取材エリア。ぼうぜんと声を絞りだした。

「自分でも何であんなに遅かったのか分からない。最後の100メートルは、もはやジョギングぐらい遅かった。予選で落ちるのは初めて。ちょっと何とも言えない。ひどすぎますね」

200メートルを走るのは19年日本選手権以来、2年以上ぶり。最初の50メートルはイメージ通りに前へと出られた。中盤からは伸びを欠いて、他の選手にどんどん離された。3着以内か、4着以下の上位タイム3人という準決勝進出の条件は遠かった。調子は「悪かったわけでもない」。体も「痛いところも全然ない」。明確な原因が見えない分、頭の中は混乱していた。この結果で、400メートルリレーを走るのも絶望的となった。

2年前には100メートルで9秒97を出した前日本記録保持者。4年前の世界選手権200メートルでは同種目で史上最年少の18歳5カ月で決勝に進出する7位入賞だった。圧倒的な強さを示してきた姿は、初出場の五輪で影を潜めた。今季は本調子ではない。6月の日本選手権は100メートル6位で、200メートルは左太もも裏の違和感で欠場だった。19年に参加標準記録(20秒24)を突破していた200メートルで代表入りしたものの、コンディションは不安視されていた。

飯塚と山下も準決勝へ進めず、日本は100メートルに続き、200メートルでも代表3人がそろって予選敗退。2次予選があった時代を含め、100メートル、200メートル両種目に代表が出場した五輪で、全員が初戦から次のラウンドへ進出できなかったのは、1928年のアムステルダム大会以来、93年ぶりの屈辱になる。自国開催の五輪で、まだ世界との差を埋められていない現実を突きつけられた。【上田悠太】