現役最後のレースとなった大迫傑(30=ナイキ)は、2時10分41秒(速報値)で今大会の日本勢最高となる6位入賞を果たした。日本男子の五輪入賞は12年ロンドン五輪6位の中本健太郎以来9年ぶりとなった。

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こんな人 負けず嫌いなキャラクターは、高校時代にはすっかり完成されていた。長野・佐久長聖高時代の大迫をコーチとして指導した現監督の高見沢勝さん(40)は「ツンツンした雰囲気で、とにかく負けん気が強かった」と振り返る。

試合はもちろんのこと、練習でも、さらに寮生活においても、大迫は常にトップを意識していた。寮監も兼務した高見沢さんによれば、「食事も風呂も常に1番。彼が3年生になって新しい寮が完成すると、『1番』のげた箱を確保するためにすっ飛んで行った」。

現役最後のレースで世界のライバルたちとも、真っ向から渡り合った。強い相手に立ち向かう気概も高校時代に培われた。毎週水曜のロード練習で、全国大会で活躍する村沢明伸ら先輩たちに対し、闘争心むき出しに勝負を挑んだ。途中の上り坂で大迫が仕掛け、それを先輩たちがねじ伏せる光景が繰り返された。敗れても敗れても、へこたれることなく挑み続けた。「負けん気の強さを貫き通したことが、今につながっている」と評した高見沢さん。その教え子は、不屈の闘志で最後まで駆け抜けた。

【奥岡幹浩】