稲葉篤紀監督がミスターの「気」を帯びて、金メダルをつかむ。4日の準決勝韓国戦前に長嶋茂雄氏から激励の電話を受けたことに「わざわざ私のところに電話をしたい、という長嶋さんの思いがすごくうれしかった。ミスターマジックだな、と。勝たせていただいた。さすが幸運の持ち主、ありがたかったです」と国民的英雄の思いに感謝した。

決勝米国戦の相手先発はマルティネス。NPBでプレーする右腕に通算打率4割9厘の浅村、今季初対戦で3打数3安打の山田を含め、メンバーは136打数47安打、打率3割4分6厘、7本塁打と好データが並ぶ。「データとか、誰が相性いいとか、国際大会はあまり参考にならない。そのときの調子、流れがある。1人1人がどうアジャストしていくか。しっかりと対策を持って行く必要がある」。長嶋氏も野生の勘と称される「カンピューター」を武器としたが、指揮官も生の感覚に重きを置く。

17年夏に就任して4年。長き旅路の集大成を迎える。「ここまでもそう簡単には来れない道のりではあったが、この1つはとにかく我々、選手も含めて本当に悔いのないように全力で戦う」。ミスターをはじめとする日本球界の思いが、稲葉監督に宿る。【広重竜太郎】