稲葉篤紀監督(49)が五輪を終え、退任する。17年7月に代表監督に就任。東京五輪までの契約で、就任期間は歴代最長の4年だった。19年のプレミア12初優勝など実績を重ね、大任を全うした。

今後、日本野球機構(NPB)を中心に後任監督の選定に入るが、次のミッションが確実に定まっていないのが現実だ。本来なら次の目標はWBC。だが今年3月に開催予定だった大会は23年に延期となる見込みだが、終息の見えないコロナ禍により確定には至っていない。今秋のアジアプロ野球チャンピオンシップも開催は厳しく、現状では新監督の初陣すらも設定しづらい状況にある。不透明な要素がクリアされなければ、一定の拘束が伴う代表監督の要請には達しない。

東京五輪で3大会ぶりに復活した野球も、24年パリ五輪で再び実施種目から外れる。野球の母国、米国で開催される28年ロス五輪での復活が期待されるが、今後の進展を見守る必要がある。流動的な情勢下で侍ジャパンが次のステージに入る。

◆稲葉篤紀(いなば・あつのり)1972年(昭47)8月3日、愛知県生まれ。中京(現中京大中京)-法大を経て94年ドラフト3位でヤクルト入団。04年オフにFAで日本ハム移籍。07年首位打者、最多安打。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。12年に通算2000安打達成。14年引退。日本代表ではプレミア12やWBCで打撃コーチを歴任し、17年7月に監督就任。左投げ左打ち。