女子日本は、バスケットボール初のメダルをかけて6日、準決勝フランス戦に臨む。両親がガーナ出身の馬瓜(まうり)エブリン(26=トヨタ自動車)は、途中出場でチームを支えてきた。3人制バスケットボールでベスト8進出に貢献した妹のステファニー(22)に続き、大舞台で躍動している。

姉妹は愛知県で生まれ育った。エブリンが14歳でU16日本代表に選出されたことを契機に、「日本代表として国際大会に出場したい」という気持ちを尊重し、家族全員で日本国籍を取得。母フランシスカさんは、「子どもたちの将来のことを考えた。提出する書類がいっぱいで、国籍を変えるのは大変だった」と振り返る。

小さい頃から読書が大好きだったエブリンは、文章を書くことが得意だった。スポーツも得意な文学少女は中学1年の時、法務省が主催する全国中学生人権作文コンテスト中央大会で、人権擁護局長賞を受賞した。タイトルは「笑顔になるために」。自分の出自に関する葛藤と正面から向き合い、思いの丈をつづった。

「母に『どうして私は日本語をしゃべれるのに、肌や髪や体はちがうの?』と質問しました」

悩む娘を案じた母は、「人と違うところを悲しむのではなく、喜びを持って、最大限に生かしなさい」と助言した。それでも心ないからかいが耳に入ってくるが、エブリンは再び母のアドバイスを受け、乗り越えるための「新しい技を取得」。そして笑顔の大切さを提唱した。

開会式で男子バスケットボールの八村塁が旗手、女子テニスの大坂なおみが最終聖火ランナーを務めた今大会。5人制と3人制、それぞれのコートで爽やかな笑顔を振りまいた馬瓜姉妹も、「多様性と調和」の大会テーマを象徴する存在として輝く。

フランス戦は6日午後8時開始。1次リーグ初戦で下した相手に再度勝ちにいく。【奥岡幹浩】