新型コロナウイルスの感染拡大で、緊急事態宣言下での東京オリンピック(五輪)開催が決まって一夜明けた9日、全国を巡ってきた聖火リレーが東京都に入った。

聖火は昨年3月12日にギリシャで採火され、コロナ感染拡大による1年の延期を経て3月25日、福島県のサッカー施設Jヴィレッジからリレーが再開。長い遠回りを経た開催都市での出発の日となる9日、「聖火お披露目式」が駒沢オリンピック公園総合運動場で開かれた。小池百合子知事は「希望の道としてここまでつながれてきました。それぞれの思いを聖火に込めてしっかりとつないで頂きたい」と呼びかけた。

会場の外で五輪の中止を求める市民団体が「オリンピックを今すぐ止めろ。医療に金を回せ。聖火の火を消せ」と訴える声が会場内にも響いた。コロナ禍で反対の声も多い中での開催となったが、都内の第1走者の元プロテニス選手の松岡修造氏は「複雑な思いもあるが、開催が決まった以上、五輪の価値を感じてもらいたい」と語った。

23日の開会式まで2週間。小池氏は都庁で開いた定例会見で1都3県の会場での無観客開催について「前例のない極めて異例な事態です」とした上で「いろんな見せ方や楽しみ方、東京だからできることを作っていきたい。チャレンジだと思っている」と改めて意欲を見せ、「コロナを抑えて安全安心の大会とした上で、ぜひとも成功に導いていきたい」と話した。

4度目の緊急事態宣言が発令される開催都市のトップとして、まさに正念場を迎える。この日の会見では、自民党の二階俊博幹事長がTBSのCS番組収録で小池氏の五輪後の国政復帰が取りざたされていることについて「国会に戻ってくるならば大いに歓迎だ」と述べたことについても問われ、「頭の片隅にもない」と否定した。【沢田直人】