23日に開幕する東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの独占放映権を持つ米NBCテレビが、無観客開催になったことを受け、米国代表選手の家族をフロリダ州オーランドにあるユニバーサル・リゾートに招待し、現地に家族観覧席を設置して盛り上げる計画であることが分かった。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で現地での応援が禁じられた選手の家族や友人らを同リゾートに招き、空っぽの観客席の代わりにリモートで遠隔応援する家族団の映像を放送する予定だと米ウォルストリート・ジャーナル紙が報じた。

NBCは現地で観戦できない家族たちが、それに代わる体験としてリゾート応援を提案するとし、各選手ごとに家族や友人2人分の往復航空券と4泊の宿泊券を提供するという。

家族たちは中継カメラが設置された観戦パーティーに参加し、その様子が試合とともにテレビ中継されることになる。

NBCの五輪中継部門の代表モリー・ソロモン氏は、「家族と友人が、米国代表チームの競技を共に観戦し、毎晩”USA"コールを連呼することを期待している」とコメントしている。米国代表は613人と発表されているが、現時点で約800人の家族らが応援団に参加する意向を示しているという。

NBCはパラリンピック期間も同様に家族らを米五輪・パラリンピック委員会の本拠地コロラド州コロラド・スプリングズのホテルに招待する計画を明かしている。観客の声援というスポーツ中継にとって欠かせない要素がなくなった今大会、五輪の熱狂をどう視聴者に伝えるのか演出面での工夫が求められている。

NBCは前代未聞の7000時間の放送を行うことを発表しているが、観客の不在によってスポーツ観戦の醍醐味(だいごみ)が失われ、視聴率の低迷につながることを懸念する声もある。(ロサンゼルス=千歳香奈子)