新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年の延期となった東京五輪が23日、緊急事態宣言下で開幕する。本来ならばお酒を片手に大勢で盛り上がるはずだったスポーツバーでは、くしくも我慢のノンアル時短営業が強いられた。

東京都渋谷区のスポーツバー「Fields(フィールズ)渋谷」は政府の要請に従い、酒類は提供せず午後8時までの営業を決めた。店主の田中守さん(67)は「ここでもうけなければどこでもうけるんだと思う」と吐露した。サッカーW杯やラグビーW杯の時には、50席ほどの店内に最大約200人が来店した。コロナ禍前にテレビを1台新調し4台態勢で準備を進めていたが、東京五輪の期間の予約は0となった。絶好のかき入れ時が危機的状況だが、田中さんは「自然災害的にコロナがある。ここで営業したら人災にしてしまう可能性がある。人として従うだけです」と冷静に話した。

一方で渋谷のあるスポーツバーでは要請には従わず午前0時まで営業している店もあった。店内では、マスクを外した外国人が楽しそうに踊っている様子もみられた。五輪関連の映像は映されていなかったが、店にによると要望があれば応えるという。

宣言が出されていない福島県福島市のスポーツバー「sports bar Phantom ~ファントム~」は、席数を40から25に減らし深夜1時まで営業する。店主の鈴木聡一さん(43)は「『復興五輪』とうたっている中で国際的に交流ができないのは寂しい」と肩を落とした。その上で「ラグビーW杯の時と同じで次第にオリンピックも盛り上がってくる。28日の福島で開かれる野球に期待しています」と話した。【沢田直人】