東京五輪の野球が28日、福島・あづま球場で開幕し、地元福島では、同じく福島開幕だったソフトボールに続く金メダル獲得を期待する声が上がった。

県の観光やフルーツの魅力を伝える「2021ミスピーチキャンペーンクルー」の佐藤晴香さん(21)も熱烈応援中だ。「ドミニカ共和国に勝ちましたし、1戦1戦集中して勝っていただきたい。野球も金をとっていただきたい」。自身は山形県鮭川村出身で新庄北高時代は野球部マネジャー。ソフトボール部の助っ人で外野手を務めたこともある。現在は福島大3年で、家はあづま球場近く。「楽天の田中将大投手は復興五輪という言葉を使って、より一層、東北を盛り上げようとしてくれている。ソフトの上野(由岐子)さんのように、田中投手にも福島、東北、日本を勇気づけてほしい」。13年に楽天日本一セレモニーを生観戦したことも忘れられない思い出の1つ。あの時の奮闘再現を願った。

前夜は自宅で大学の提出物を仕上げながら、ソフトボール決勝米国戦をテレビ観戦した。「6回裏にサードがはじいたライナーをショートが捕球して、日本がダブルプレーにした場面が印象的。あそこで勝てるなと思いました。上野選手は私が幼い時から憧れていたので、すごいなと思いました」。一夜明けても、まだまだ興奮が残っていた。

本来なら五輪期間中はあづま球場などで福島のPRを行う予定だったが、無観客で中止。この日は埼玉県の百貨店で福島の桃をPRした。韓国チームが福島県産食材への懸念を示し、選手村に外部から弁当を持ち込むなど、東京電力福島第1原発事故から10年が経過しても、風評被害はなくなっていない。「海外の方の気持ちも理解は出来る。でも私はミスピーチとして、復興を伝えたり、風評被害を改善したりすることに貢献したい」。

福島開催時はホテルなどで福島県産の農産物などが振る舞われている。ソフトボール米国代表エリクセン監督は「福島の桃はおいしかった」と絶賛。佐藤さんも「コロナで私たちのイベントでも試食は中止しているので、そういう声がうれしいです。福島に足を運んでいただくきっかけになります」。ソフトボールくらい大きな桃を手に、笑顔で感謝した。【鎌田直秀】