メンタルヘルスを優先させるため東京オリンピック(五輪)の体操女子団体の決勝戦を途中棄権したシモーネ・バイルズ(24=米国)が、日本国内での使用が禁止されているADHD(注意欠如・多動症)治療薬の服用が特例で認められていると報じられた。

日本政府は五輪を前に覚醒剤の成分を含む薬の日本への持ち込みを特例で認める法律を6月に成立させており、バイルズもその対象になっていたという。

2016年リオデジャネイロ五輪で4冠に輝いたバイルズは、自身のSNSで子供の頃からADHDで薬を服用していることを告白していた。バイルズが服用しているのはメチルフェニデートで、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は使用を禁止しているが、正式な手続きを経て服用が認められているという。

バイルズの欠場を巡っては、「勇気のある決断」と支持する声が米国内で多くあがっている一方、欠場理由にあげている精神的な問題はメチルフェニデートの服用による副作用と関連している可能性を指摘するスポーツコメンテーターもいる。また、英国テレビ司会者ピアーズ・モーガンやテキサス州の副検事長らが欠場を批判してSNS上などで炎上もしている。

バイルズは1日に予定していた跳馬と段違い平行棒、2日の床運動の種目別決勝も辞退することを発表しており、残る3日の平均台に出場するかどうかはまだ分かっていない。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)