体操競技の大トリ、一番いいところで完璧な演技をやってのけた。やはり、橋本はすごい選手だ。生まれ持ったものか後からの努力かは分からないが、ひねりの部分などでも空中感覚が抜群。それが、高いレベルの演技を支えている。

Dスコア(演技価値点)は6・5で3人が並んでいた。勝負を分けたのはEスコア(出来栄え点)。長い手足で大きな演技を見せるのが橋本の持ち味。離れ技をしっかりとり、着地を決めることは当然だが、伸身のトカチェフなどで雄大なラインを見せたのが、高いEスコアにつながった。

演技の構成も素晴らしかった。勢いや力強さをアピールするためには、攻めの姿勢が大切。連続トカチェフで、そこをみせた。鉄棒のスペシャリストならさらに高いDスコアを狙う選手がいるかもしれないが、オールラウンダーとしては今の構成で十分。これを、さらに磨いていけばいい。

内村との比較ではなく、今大会で新しいヒーローが誕生したということ。新王者にはスキが見当たらないし、これからも日本の体操界を引っ張っていくはず。橋本の金メダルで、日本はいい形で大会を終えた。(04年アテネ五輪団体金メダリスト)