18、19年世界女王の阿部詩(21=日体大)が決勝でライバルのブシャール(フランス)を延長の末に下し、金メダルを獲得した。

4分間で決着をつけられずに延長戦へ突入。疲労のみえたブシャールに対し、崩れけさ固めで抑え込んで一本勝ち。「私が52キロ級で絶対に金メダルを取ってやろうと思っていました。本当に4年間、この大会だけを目指して日々、努力してきたので、私の努力がやっと報われて良かったです」とほっとした笑みを浮かべた。

同階級の金メダルは日本初となる。過去の先輩がなし得なかった快挙を成し遂げ「私が52キロ級で絶対に金メダルを取ってやろうと思っていました」とキッパリ。ブシャール撃破直後、畳を手でたたいて喜び「本当に東京五輪があるかどうか分からない状況でこのように開催していただき、金メダルを取ることができました。初めてのような感覚が決勝終わって生まれてきました」と振り返っていた。

阿部は16年12月のシニアデビュー以来、攻撃型の柔道で白星を重ね、18年世界選手権では兄一二三ときょうだい優勝を果たした。19年11月のグランドスラム(GS)大阪大会でライバルのブシャールに屈して東京五輪代表内定を逃したが、精神面の成長を促した。

技の威力とスピードが最大の持ち味で、得意の担ぎ技を生かすための足技にも磨きをかけた。初の夢舞台に向けて「絶対的な強さを手に入れることが『怪物』と呼ばれるための第1歩。五輪では絶対的な強さで優勝したい」と語っていた。