16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの永瀬貴規(27=旭化成)が決勝でモラエイ(モンゴル)を下し、2度目の五輪で悲願の金メダルを獲得した。初対決となる相手得意の肩車に対応し、内股、大内刈りを仕掛けたが、決着つかずに延長(ゴールデンスコア)に突入し、技ありで優勢勝ちした。同階級では、00年シドニー五輪の滝本誠以来となる日本勢の金メダル。これで日本男子は初日の60キロ級を皮切りに4階級連続の金ゲットとなった。

初戦の2回戦でアルバイラク(トルコ)を延長の末、7分16秒、3度目の指導を誘って反則勝ち。パルラティ(イタリア)との3回戦では払い腰で一本勝ちを収めると準々決勝もレッセル(ドイツ)と延長にもつれ込み、小外掛けで技ありを奪って優勢勝ち。21年世界王者で世界ランク1位カス(ベルギー)との準決勝も延長にもつれ込み、背負い投げで競り勝っていた。

17年世界選手権で右膝靱帯(じんたい)を損傷した永瀬は、人生初の手術を受け、約1年のリハビリを経て18年秋に実戦復帰した。結果が出ずに苦しんだ時期もあったが、地道にはい上がってきた。「過去の自分に腐らずに1つ1つを超えていこう」と、自らを奮い立たせて稽古に励んだ。

本来の粘り強い柔道を徐々に取り戻して、19年全日本選抜体重別選手権から5連勝。18年世界選手権銀メダルの藤原崇太郎(旭化成)との五輪代表争いを制した。「五輪の借りは五輪で返す」と臨んだ2度目の夢舞台で、27歳の柔道家が5年前の雪辱を果たした。

◆永瀬貴規(ながせ・たかのり)1993年(平5)10月14日、長崎市生まれ。6歳から柔道を始める。長崎日大高-筑波大-旭化成。15年ワールドマスターズ大会優勝、同世界選手権優勝。16年リオ五輪銅メダル。19年GS大阪大会優勝。21年GSタシケント大会銅メダル。世界ランキング13位。右組み。得意技は大内刈り、内股。趣味は温泉。好きな食べ物はヨーグルト。好きなタレントはくりぃむしちゅー。家族は両親と兄と姉。181センチ。