17、18年世界選手権覇者で初出場の新井千鶴(27=三井住友海上)が金メダルを獲得した。決勝でポレレス(オーストリア)と対戦し、小内刈りで技ありを奪い、優勢勝ちで頂点に立った。技ありを奪った後も攻め続け、最後も寝技で攻め続けた新井は「一本を取りにいこうという気持ちで。最後、悔いを残してこの大会を終わらないように攻めきろうと思いました」と振り返った。同階級では16年リオデジャネイロ五輪王者の田知本遥に続き、2大会連続の金メダル獲得。柔道の日本勢金メダルは5日連続となった。

準決勝では、今年5月にグランドスラム・カザン大会大会で負けていたロシアの新星タイマゾワ(ROC)と本戦合わせて計16分41秒に及ぶ死闘を制し、決勝進出。「本当にこの舞台に立つため、1年1年うまくいくことは少なかったですが、自分が1番になるのだという思いで、積み上げてきた。そういう自分に最後、悔いだけは残したくないなと思って気持ちで戦いました」と目に涙をためた。

新井はリオ五輪の代表争いに敗れたが、その悔しさを胸に17、18年世界選手権を制覇。172センチの長身を生かしたキレのある内股を武器にその後も勝利を重ねた。3連覇を目指した19年世界選手権で3回戦敗退後はなかなか結果を残せず、苦しい時期が続いた。新井は「何度もくじけそうになったのですけれど、それでも自分の信念をぶらさずに、ここまでやってきてしっかり結果がついてきて、本当に良かったです」と達成感いっぱいの表情。五輪女王は5年前の代表落選後も両親ら家族、所属先など支えてくれたすべての人達に感謝の言葉を続けていた。

 

◆新井千鶴(あらい・ちづる)1993年(平5)11月1日、埼玉県生まれ。7歳で柔道を始める。埼玉・児玉高-三井住友海上。17、18年世界選手権優勝。18年GS大阪大会優勝。21年GSタシケント大会優勝。世界ランク5位。左組み。得意技は内股と大外刈り。趣味は読書。好きな食べ物はうどん。家族は両親と兄。172センチ。血液型O。