国際オリンピック委員会(IOC)の第138次総会が20日、都内ホテルで行われ、大会組織委員会が報告を行った。

終了後、橋本聖子会長(56)がメインプレスセンター(MPC)で会見。過去のいじめ告白問題で辞任した小山田圭吾氏(52)について、まず当該記事を読んだか橋本会長に質問が飛ぶと「ご指摘をいただいた後に見させていただきました」と認めた。

続けて「(過去は)知らなかった」という組織委の対応について「組織委は何も調べず起用していた印象を受ける」と突っ込まれると、武藤敏郎事務総長(78)が対応した。

「(前任責任者の)佐々木(宏)さんが辞任された後、もともと計画していた人(制作メンバー)が残っていただかないと間に合わない。その時間がない中、次々と必要な人たちを仲間として誘って、全体のメンバー20人余りが誘われて形成されました」

「その姿については、我々が1人1人を任命するのではなく、仲間でやらないと、気心をしれた人たちでやらないといけない全体像です。そのまま任命することになりました。任命責任は我々にあることは間違いありませんが、制作チームが選んだということ。全体像ができた後、報告があった。その時にチェックすべきだったと言われれば、その通りだし、名簿を受け取った時に調べろと言われればそう。しかし、その段階では1人1人を調査することが行われなかった。知らなかった、というのは、そういうことです」

続けて「前回も7人のメンバーを我々が選びましたが、その下の編成についてはお任せしていました。その分野では大変すぐれた人たち、誘われた人たち。それゆえに知らなかったということです」とした。

小山田氏は五輪とパラリンピックの開会式の音楽を担当しており、五輪の開会式はオープニングの4分間の楽曲を担当。しかし辞任を受けて、楽曲ごと使わないことを発表している。

その中で、橋本会長もこの件に関して初めて公の場でコメント。「今、総長に一連の経過説明をしてもらいましたが、責任は私にあります。しっかり調査できなかった。その中で大会の柱である『多様性と調和』について、東京大会ではそれをしっかり発信しなければいけない中で、外れていたと思いますし、心を痛めた方々への早急な対応が遅れたことを、おわびを申し上げながら、いま一度、多様性と調和の原則にのっとって、最善の努力をしていきたいと思います」と謝罪した。

また「小山田氏が辞任すれば我々も降りる」と制作チームのトップ級メンバーが組織委に迫ったという情報に対しては、武藤事務総長が「そのような話はうかがったことがありません。この問題が表に出た時、クリエイティブチームの人たちは、私の印象の話になるので恐縮ですが、オープニングの4分間を(小山田氏が)作曲していて、それがなくなると、あのタイミングではどのように対応したらいいのか、と戸惑っていた。ただ、そのような事実を聞いたことはありません」と答えた。

最後に、小山田氏の辞任だけで責任を果たせたと思うか尋ねられると、武藤事務総長が「もちろん、過去にこういう問題を起こしたと聞いた時、断じて許される問題ではないと思いました。しかし、すぐに謝罪と反省をつづられ、仮に楽曲が使えなくなった場合にどうするのか、という現場の話もあったので、判断に時間がかかってしまった。最終的に開会式で楽曲を使わなくなった。現場はどうするか対応を検討していると思うが、やはり恥ずかしくないものにしていくことに全力を尽くしたい」と話すにとどめた。【三須一紀、木下淳】