国際オリンピック委員会(IOC)は21日、都内で第138次総会を開き、2032年のオリンピック(五輪)・パラリンピックの開催都市をブリスベン(オーストラリア)に決めた。同国では56年メルボルン大会、00年シドニー大会以来3度目の開催となる。

総会後、IOCトーマス・バッハ会長(67)やブリスベン関係者が東京五輪・パラリンピックのメインプレスセンター(MPC)で会見。従来の委員による決選投票ではなく、異例の一本化で決定したプロセスについて、予定調和と突っ込まれたバッハ氏が気色ばむ場面があった。

冷え込む招致熱で争う都市がなかったものの、総会で正式決定という手順を踏む前に、東京大会の組織委員会がコメントを配信。「2032年開催都市決定に関する会長コメント」と題した橋本聖子会長の祝福で、情報解禁日時の指定はあったが、決定の約1時間半前にリリースが送られていた。

この件について、海外メディアから「事前に東京大会の会長がお祝いを出していたが、反対票が少ないと予想されていたとはいえ、はじめから決まっていたのか」と質問されると、バッハ会長は驚き「そんなことは知りませんでしたが、IOC委員を非難することはできませんよ」と不快そうに答えた。

続けて「組織委員会から何かプレスリリースが出たとしても、組織委員会は何を考えていたか分かりませんが、我々には無関係だ。ブリスベンに関しては、将来の開催都市候補として報告も議論もあった。第三者が何をしようが、今回の決定には関係ない」と語気を強めて訴えた。【木下淳】