16年リオデジャネイロ大会銅メダルで世界ランク3位の日本が、同1位で3連覇を狙うオーストラリアに勝利した。3連勝でグループ首位通過し、28日の準決勝進出を決めた。

「ドシンッ!」「ゴスンッ!」。重戦車のような車いすがトップスピードでぶつかり合い、何度も鈍い音が会場に響いた。その大きな衝突音が両チームの熱戦を物語った。日本は第1ピリオド(P)から得意の「好守速攻」で得点を重ねた。鉄壁の防御から相手のミスを誘い、ボールを奪取。トライゲッターの池崎大輔(43=三菱商事)らがトライを奪い、前半を29-27で折り返した。後半は代表唯一の女性で“守備職人”の倉橋香衣(かえ、30=商船三井)が出場し、王者相手に1歩も引かず4点差で勝負を決めた。

オアージャパンの攻守の要は、池透暢主将(41=日興アセットマネジメント)だ。優れた戦術眼で攻撃をけん引し、右腕から放たれる得意のロングパスで池崎らにつないだり、自ら突破してトライも奪う。リオ大会後の18年11月に車いすラグビーの先進国の米国へ武者修行。世界一と評される高精度のロングパスに磨きをかけ、ウエートトレーニングで筋力強化に励んだ。41歳になっても、過去最高で最強の闘将として今大会を迎えた。

常にチームが成長することを考え、代表12人の「ONE TEAM」で闘うことを意識する。初の金メダルへあと2勝-。「自分たちを信じて、自分たちのラグビーをするだけ」。19年W杯で史上初の8強進出を果たしたジョセフジャパンに続くように、オアージャパンが日本ラグビー界に新たな歴史を刻もうとしている。

◆車いすラグビー 「ウィルチェアラグビー」とも呼ばれる。バレーボール球に似た専用球を投げ、ドリブル、転がすなどして前にボールを運ぶ。車いすの前後4輪のうち2輪がゴールラインを通過するとトライとなる。男女混合競技で、車いすを激突するなど攻守を阻止するタックルが認められている。選手の障がいレベルは0・5点から3・5点まで7段階に分けられ、プレーする4人の合計は8・0点以内で編成する。