東京オリンピック男子サッカー日本代表のMF久保建英(20=レアル・マドリード)が、22日の1次リーグ南アフリカ戦で披露した「K」ポーズのゴールパフォーマンス。それはJ2モンテディオ山形のMF山田康太(22)のイニシャルを指している。久保と山田は、アンダー世代の日本代表、横浜F・マリノスでともにプレーし、今も連絡を取り合う仲のいい間柄。山田が日本が決勝トーナメント進出を決めて一夜明けた29日、山田がオンライン取材に応じ、久保との友情を語った。

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22日の南アフリカ戦。0-0の均衡を破ったのは久保の一撃だった。ゴール後、久保は手で「K」の文字をつくってみせた。山田は「見てましたね。日本をすごく応援していますし。自分も世代の1人なので少し悔しい気持ちもありながら。でも、本当に応援しているし。親交のあるタケ(久保)が決めてすごくうれしいし。ポーズは、うれしいというか、恥ずかしいじゃないですけど、タケにはちょっと控えてねと言ってます」と苦笑しながら友人の活躍を喜んだ。

山田と久保は、アンダー世代の代表活動で知り合い、久保が18年夏に横浜に加入したことでより、親交が深まった。年が近く、互いに若手で一緒に自主トレーニングをしたり、食事に行った。久保はバルセロナの下部組織出身でアンダー世代の代表にも飛び級で選出されていた逸材。第一印象について「最初はメチャメチャ生意気だった」と振り返る。チームの片付けをしなかったこともあった。山田は「マリノスは厳しく言われるので。当時は中沢(佑二)さんとか、偉大な先輩がいた。その中で、帰ったりしていたので。タケ、やらないとまずいよ、と。マリノスに来て人間味が出たかなと感じていて。来た当初は、すごくサバサバしていたけど、マリノスで変わったかなと」と当時を懐かしむ。

久保が横浜からFC東京に戻っても友情は続いた。スペインへ出発する前日に、山田の自宅で鍋を囲んだ。久保の海外移籍で、会うことはほとんどなくなったが、メールでのやりとりは続けている。昨年7月10日、山田の21歳の誕生日の日に、久保は当時所属していたマジョルカでレバンテと対戦。後半39分にゴールを決めると、山田の誕生日の祝福として両手で「K」のパフォーマンスをしている。山田は「試合前に連絡が来て、決めたらやるね、というやりとりをしたのを覚えています」。

今年は、久保が6月の親善試合・ジャマイカ戦、南アフリカ戦でKのポーズをした。山田は「連絡しないで勝手にやってるので(笑い)。本当に自分なのか、分からない状態で見ていたりしている」と振り返る。南アフリカ戦後に、山田が久保に「おめでとう」とメッセージを送ると、久保から「(山田が)試合で決めたとき、1回、何かお返ししようか」とジョーク交じりの返信があったという。山田は「1回、Tをしようか、と言われてますけど、建英なので。あんまり、今やろうとはあまり思っていない」と話す。

オリンピックの舞台で3戦連発と躍動する友人に、山田は「すごいプレッシャーの中で戦っていると思う。それは僕もU-20のワールドユースに出たとき、十分に感じながらやっていたので。今はそれ以上だと思う。日本で試合できているのはアドバンテージ。メダル取れると思うのですごく期待しています」とエールを送った。【岩田千代巳】