新時代の『五輪の怪物』の誕生だ。競泳最終日に男子のケーレブ・ドレセル(24=米国)が、50メートル自由形と400メートルメドレーリレーを制して5冠を達成した。16年リオデジャネイロ五輪でのリレーの2つと合わせて金メダルは通算7個。前回大会で引退した五輪最多金23個の記録を持つマイケル・フェルプス(米国)の後継者が、五輪に新たな怪物伝説を刻んでいく。

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東京で新しい怪物伝説が生まれた。最終レースの400メートルメドレーリレー。第3泳者でバタフライを泳ぐドレセルは3番目に飛び込んだ。まるで高速エンジンを背負ったような加速で、0・64秒差の1位英国を抜き去ると、2位以下に0・6秒差をつけてトップの座を奪い返し、力ずくで劣勢の米国に世界新記録での金メダルを引き寄せた。

直前には自慢のロケットスタートで50メートル自由形決勝を2位に0秒48差をつける五輪新記録で圧勝した。今大会は個人3種目とリレー3種目に出場。前日31日に100メートルバタフライを世界新記録で制した後「疲れを感じている」ともらしていたが「誇らしい。数十秒しかないレースの瞬間に完璧でなければいけない。そうなるために5年間鍛えてきた」と笑顔に疲労の色はなかった。

17年の世界選手権でフェルプスに並ぶ1大会最多7個の金メダルを獲得。19年の世界選手権でも6冠を達成し、100メートルバタフライでフェルプスの世界記録も塗り替えた。コロナ禍による1年延期も勢いは衰えなかった。プールが閉鎖されたため練習場を求めて各地を転々とした。コーチ宅の車庫で筋トレに取り組んだ。

72年ミュンヘン五輪7冠のスピッツと、08年北京五輪8冠のフェルプスの後継者と目されているが「私の目標はマーク(スピッツ)を超えることではない。自分の可能性を追求することだ」。これからどれだけ金メダルを積み上げ、どんな伝説を五輪の歴史に刻むのか。東京の勇姿はそんな想像をかきたてる。何しろ彼はまだ24歳なのだから。

◆ケーレブ・ドレセル 1996年8月16日、米フロリダ州生まれ。19歳で出場した16年リオデジャネイロ五輪で400メートルリレーと400メートルメドレーリレーで金メダル。世界選手権は17年と19年に出場して通算金メダル13個。東京五輪は100メートル自由形、50メートル自由形、100メートルバタフライ、400メートルリレー、400メートルメドレーリレーの5冠。191センチ、88キロ。