3大会連続、個人戦では初の五輪メダルを目指す石川佳純(28=全農)が、9年ぶりの五輪シングルス白星を挙げた。1、2回戦を勝ち上がってきた、同じ左利きのオラワン・パラナン(タイ)を4-2。前回の16年リオ五輪シングルスは、まさかの初戦(3回戦)敗退を喫した。この日もタイの新鋭に苦しめられたが、シード選手の貫禄を示した。

試合後は開口一番「ホッとしています」と話し、ほほ笑んだ。「リオの時と同じで、すごく苦しい展開になったんですけど、5年前の経験が生きたと思います」と、初戦にかける思いの大きさをのぞかせた。

第1ゲームはロングサーブで先制し、終始主導権を握った。1-1と追いつかれた直後から4連続得点。フォアの強打がさえ、11-5と圧倒した。第2ゲームを5-11で取られると、第3ゲームからは自らを鼓舞するように、得点するごとに「サーッ」や「シャーッ」「ヨーッ」の声を出し、右手を握り締めた。

第3ゲームを11-4で取り、第4ゲームを6-11で取られた後の第5ゲームは、気合に拍車がかかった。5-4から6連続得点。フォアのドライブで相手を空振りさせた7点目を決めると、前にかがみ込んで大きくガッツポーズをつくった。

11-4で王手をかけた、第6ゲームも勢いは止まらなかった。出だしから3連続得点すると、相手はたまらずタイムアウト。4-0とし、第5ゲーム途中から10連続得点と乗りに乗った。最後はフォアの強打を決め、両手を挙げて笑顔を見せて喜んだ。

「相手の選手も、すごくいいプレーしていて、少し押され気味の時もあったんですけど、ゲームカウント2-2から、何とか自分のプレーで盛り返して、流れに乗っていけたと思う」と、振り返った。27日の4回戦に向けては「明日、また試合ができるので、しっかり準備をして、明日はいいプレーができるように頑張りたい」と話した。

団体戦では12年ロンドン五輪で銀メダル、16年リオ五輪で銅メダルを獲得した。シングルスではロンドン五輪で3位決定戦の末に敗れ、わずかに届かなかったメダルに向け、日本選手団の副主将が徐々に強さを見せる底力を発揮した。