男女シングルス3回戦で日本勢が初登場した。男子は張本智和(18=木下グループ)が香港の林兆恒(24)と対戦し、4-1で五輪初勝利。初戦の日程が試合前日に連絡もなく変更になるアクシデントに見舞われたが、事なきを得た。

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張本は卓球台の前に立つと「重苦しい空気感」を感じた。緊張と重圧が想像以上にのしかかる。「オリンピックを強く意識していた。あえて、そう思い続けて戦おうと決めている。プレッシャーは当たり前です」。第3ゲームを落としたが、五輪初白星を挙げた。

第2ゲームの6-9の場面で、右拳から流血して中断。審判に申告し、メディカルスタッフに止血してもらった。中断により「相手も感覚がなくなっているはず」と再開直後に4連続得点で逆転した。

前日にも想定外のことが起きていた。当初は27日午前10時からの試合が組まれていたが、前日25日の夜に急きょ、26日午後4時30分に変更された。「正直びっくりした。明後日の10時に向けて調整していたので」。

そのおかげで、ラケットのラバーを替えられなかった。午後8時半ごろに変更をチーム関係者から聞き、対戦相手の動画を見る時間を優先させた。「不安は正直、結構あった。まだ何も始まってないのに終わってしまうのではと」。それでも「(27日に)2試合やるより、1試合ずつの方が逆にラッキーだ」と言い聞かせて臨んだ。厳しい洗礼にも動じず、勝ち抜けた。【三須一紀】