14年全米準優勝で世界69位の錦織圭(31=日清食品)が力尽きた。15連敗を喫していた世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に2-6、0-6で敗れ、16年リオデジャネイロ五輪銅メダルに次ぐメダル獲得はならなかった。全4大大会と五輪制覇の年間ゴールデンスラムを目指す相手に、力の差を見せつけられた。

錦織は試合後のインタビューで「強かった。何もできずに終わったので悔しい気持ちは大きい」と振り返った。敗因にサーブの確率の低さを挙げ「サーブが入らなすぎて、自分のリズムに持ち込めなかった」と話した。

3回戦の後に、錦織が久しぶりに攻撃の言葉を口にした。「2セット目は、かなり“しばけていた”」。しばくというのは、打ちまくるということだ。錦織が、リスクを承知で攻撃の手を緩めない時に使う言葉。実は、錦織は16年リオ五輪3位決定戦でナダルに勝ったときも、その「しばく」を使った。

3回戦後「普通にやっていても勝てない」。加えて、高温多湿の中、単複を戦ってきた。ジョコビッチもシングルスと混合を戦っているが、大半は夕方の試合。錦織は多くが昼間の戦いで、消耗の度合いは、全く違う。

その中で、錦織は立ち向かった。過去の対戦成績は2勝16敗。勝ったのは11年スイス室内準決勝と、伝説の14年全米準決勝だ。15連敗中で、「最も勝つのが難しい相手。どうやればいいか想像できない」と、以前、話していた。その壁は、やはり高かった。

大会を振り返り「今日の負けはこたえましたけど、いい1週間ではあった。負けはしたけど、いい試合はいくつかできたので収穫は大きいと思う」と、前向きに話した。