レスリングの男子グレコローマンスタイル60キロ級で文田健一郎(25=ミキハウス)が銀メダルを獲得した。決勝でオルタサンチェス(キューバ)に1-5で敗れた。

世界王者として臨んだ大一番。グレコの日本勢では84年ロサンゼルス大会の宮原厚次以来、37年ぶり5人目となる世界の頂点を狙ったが、最後に壁に阻まれた。

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文田は研究されていた。組んだら圧倒的に強いことは世界に知られている。オルタサンチェスに手首をつかまれ、まったく自分の組手ができなかった。相手は手首をつかみながら前に出続けたから、消極的だとはみなされなかった。逆に文田がパッシブ(消極的)をとられてしまった。

勝敗を分けたのは、グラウンドの攻防だった。第1ピリオドは回され、逆に第2ピリオドでは回すことができなかった。スタンドではポイントが動かないのだから、グラウンドが大きく影響する。場外をとられて1-5で4点差になると、文田にも焦りが出た。

金メダル有力とも言われていただけに、残念ではあった。それでも、銀メダルは立派。日本の「五輪連続メダル」を守ってくれたのだから。まだ25歳。マークされる中でもポイントがとれる新技を身に付け、また挑戦してほしい。(前拓大監督)