女子76キロ級の皆川博恵(33=クリナップ)は3位決定戦で、周倩(中国)に敗れ、銅メダルを逃した。「五輪最後の試合で全部出し切ろうと思ったが、6分間戦うこともできなかった」と涙を流した。

15年8月、左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂し、5時間の手術を終えた後だった。全治8カ月で出場が決まっていた世界選手権を棒に振り、て翌年の五輪出場も逃した。リハビリ生活を見守った当時は恋人だった拓也さんは「十分頑張っていたから、頑張れとは言えない」と支えてきた。

1度は引退を考えたが、周囲の気持ちに少しずつ前を向いた。17年には結婚。家事は分担して、追い込み時期などは旦那が料理も担当する。元選手の夫は時にはスパーリングの相手にもなってくれた。練習に同行し、タックルの受け役や、映像撮影係。夫は18年頃から力を入れたウエートトレーニングの成果を肌で感じていた。

五輪前の直前合宿。夫が車で都内の拠点まで送ってくれた。いつも言う言葉は「けがするなよ」。15年の悔しさを一番近くで見ていた人のその一言は、何よりのエールだった。感謝の思いも胸にメダルを狙ったが、かなわなかった。