情報戦の勝利だね。相手左サイドバックはボロボロだった。その情報が事前に入ったから、日本は右MF伊東、DF菅原が集中的に攻めて、前半2得点。後半もMF久保がそのサイドから2アシストと、4点すべてが日本の右サイドから生まれた。それを修正できなかった相手監督は解雇されるだろうな。

日本はW杯の時より間違いなく成長していた。前半は互角以上に戦ってリードして、後半5バックに変えたのは、何かを試す狙いではなく単純に勝ちたかったからだと思う。その戦術がはまってカウンターも決まった。一方で、ドイツの衰退時代はしばらく続くね。足元ばかりで、裏が取れない。選手層が薄いし、点が取れるFWもいなかった。

日本は、システマチックに戦う欧州チームには対抗できることが証明された。今後の課題は南米のチームだ。W杯でベスト8の壁を越えるには、南米勢にも勝たないといけない。欧州は戦術で得点を狙うが、南米は個人で突破してくる。

この日、唯一苦しんだのも、MFサネの個人突破だからね。サネのような選手は南米に何人もいる。日本が苦手とする相手をどう克服するか。今回はドイツに完全アウェーで勝ったが、南米勢との完全アウェー戦は過去3戦全敗、通算0得点8失点だ。次のステージに上がるためには、克服してほしい。

今回の欧州遠征で日本はドイツ、トルコと、普段はあまり組めない欧州勢と2試合を組んだ。今後、欧州遠征時には南米の強豪とのマッチメークを考える必要がある。ほとんどの選手が欧州でプレーしているので体調もいいはず。3月に日本へ呼んだウルグアイ、コロンビアはコンディションがあまり良くなかったが、それでも日本は勝てなかった。

アルゼンチンやブラジルと欧州で試合を組めば、何十億円もの金がかかるのだろう。だが、それこそ「新しい景色」への投資だ。3年後のW杯(FIFAワールドカップ北中米大会)で必ず返ってくる。日本サッカー協会(JFA)は今、経済的に苦しいかもしれない。それでも極端な言い方をすれば、その投資ができるか、できないかでW杯の成績が決まると思う。

 とにかく今日はドイツに勝って、早起きしたかいがあったね。試合後、選手は誰も言わなかったけれど「ブラボー」だったよ。(日刊スポーツ評論家)

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム セルジオ越後「ちゃんとサッカーしなさい」)

日本対ドイツ 試合に臨む森保監督(撮影・パオロ ヌッチ)
日本対ドイツ 試合に臨む森保監督(撮影・パオロ ヌッチ)