メキシコで大きな地震がありました。7月に半月ほど滞在し、メキシコの方々には優しく、いつも笑顔で接してもらいました。

 日本代表の本田圭佑選手が同国1部リーグのパチューカと契約したこともあり、より身近に感じるようになった国。多くの被災者が出た惨事に、心を痛めています。

 メキシコではリーグとカップ戦が中止、延期となりましたが、パチューカはすぐ本拠地エスタディオ・イダルゴで支援物資の受け付けを開始。そこには選手も姿を見せ、活動に賛同し訪れたサポーターたちと一緒になって、復興への1歩を踏み出しています。

 すでに45トンもの支援物資を集め、被災地に送り出したといいます。

 本田選手もネイビーのニットに、グレーのパンツ、ごくごく普通のいでたちで姿をみせ、丁寧にサポーターに対応している姿が伝えられています。

 幼いころに阪神大震災を経験し、東日本大震災以降、毎年3月11日にはメッセージを寄せ続けている本田選手。ここ1年ほどは、死生観を語ることが増え、人の命の大切さについてより深く考えるようになっています。それだけに、ショックは大きいはずです。

 パチューカの素早い取り組みもそうですが、サッカー選手には、ピッチ以外でもできることがたくさんあるのだと、あらためて実感しました。

 熊本での地震に寄り添い続け、世界平和を祈る日本代表のハリルホジッチ監督は、こう言っていました。北朝鮮を巡る世界情勢を受けてのコメントです。

 「国連でのムッシュ・トランプ(米トランプ大統領)の発言も聞きました。現在の状況はあまりよくないのであろうと推測される。しかし、そういった問題があったとしてもスポーツという存在がある。愛情、友情などをメッセージとして送ることができるスポーツのファミリーの一員であることを誇りに思う。それが私のスポーツ側からのメッセージです」

 サッカーの持つ力、スポーツの持つ力-。きれいごとに聞こえてしまうかもしれませんが、本当にそんなパワーを感じています。

 スポーツやサッカーにたずさわり、微力ながら、広く伝える役割を担う1人として、私もそんな使命感を胸に仕事に取り組んでいきたいと思います。

 生きること、仕事に真剣に向き合うことを、ただなんとなくで終わらせてはいけない。遠いメキシコでの出来事に触れ、あらためてそんなことを思いました。

 ◆八反誠(はったん・まこと)1975年(昭50)岐阜県生まれ。98年入社。06年からサッカー担当に。途中、プロ野球中日担当も兼務。14年1月から東京勤務。日本サッカー協会やJリーグなどを担当している。