今季、Jリーグ初のウズベキスタン国籍登録選手として磐田に加入したMFムサエフ(28)が、大車輪の活躍を見せています。

 開幕アウェーC大阪戦でスタメンを飾ると、ここまで28試合に先発出場。名波浩監督(44)も「帰陣の質はJリーグNO・1」と絶賛する守備力だけでなく、攻撃でも推進力を生かして4得点を記録するなど、ダブルボランチの一角として欠かせない存在となっています。

 背景には、彼の人間性が関連していると思っています。番記者として取材をする中、全体練習後には、必ずと言っていいほど居残り練習を行うムサエフの姿を目にします。クラブのスタッフによると、オフの日でもグラウンドに来てコンディション調整に励む時もあるようです。

 そして語学です。ウズベキスタンの公用語は、ウズベク語。ロシア語は使われていますが、英語はまれだそうです。ムサエフも、来日直後は「少し話せる」程度。取材も「YES」「NO」で答えられる簡単な質問が条件でした。しかし、チーム通訳と必死に勉強を続け、約10カ月が経過した現在はスマートな英語で対応してくれています。さらに、日本語を覚える早さも「歴代の外国人でトップクラス」(通訳)だといいます。

 持ち前の明るい性格もありますが、そんなピッチ内外で続ける努力がチームに馴染む速度を上げているのだと思います。加入当初は、W杯出場経験のないウズベキスタンからの助っ人に「どこまでできるのか? 」というのが、正直な気持ちでした。しかし、今はムサエフが来日1年目から活躍できることもうなずけます。【前田和哉】

 ◆前田和哉(まえだ・かずや)1982年(昭57)8月16日、静岡市生まれ。小2からサッカーを始め、高校は清水商(現清水桜が丘)に所属。10年入社。昨年までは高校サッカーを取材し、今年から磐田担当。