<高校サッカー:星稜0-0(3PK0)修徳>◇5日◇準々決勝◇駒沢
星稜(石川)はGK近藤大河(3年)がPK戦で3連続セーブと活躍し修徳(東京A)を下した。
さえ渡る「勘」を頼りに、体が自然と反応した。PK戦を迎えた星稜GK近藤が「1人目の蹴る方向だけは分かっていた」とまずは1人目を右へ跳んだ。「最初の1発目を止めて、勢いに乗れた。あとは勘ですね」。そうは言いつつも、キッカーの助走角度を見ながら蹴る方向を予想する。2人目を左で、3人目も再び左に跳んでストップ。3連続セーブでPK戦では異例の3-0で、国立切符を手に入れた。
「大きな河のように、どっしりと構えられるようになってほしい」と付けられた「大河」という名のごとく、ゴール前で存在感を放つ。登場した2回戦から3戦連続無失点で聖地に入る。ただ、試合の後半に平凡なロングキックの目測を誤りパスボールしたことは反省。ポストに直撃したときだけは冷や汗をかき「あのミスの分まで働こう」と、PK戦での発奮材料にした。
6年前もPK戦で3回止めて日本一になっている。小学6年のとき愛知県選抜の守護神として、埼玉国際ジュニアサッカー大会に出場。沖縄県選抜との決勝戦で3度のセーブを演じていた。中学はJリーグ名古屋のジュニアユースに行き「ユースに上がれないなら高校サッカーで全国にいけるところ」と星稜に入った。名古屋の実家から遠く離れ、寮生活を選んだ道に間違いはなかった。
星稜にとって国立は三度目の正直。日本代表MF本田を擁した04年度、前回大会とともに敗れている。勝てば国立初勝利。そしてこれがラストチャンスだ。「京都橘にはプレミア参入戦(12月16日)で戦って1-5でやられた。その借りは返したい」と近藤は言う。5発も食らった苦い記憶をぬぐい去るには、本田さえもなしえなかった、聖地での勝利しかない。【栗田成芳】
◆近藤大河(こんどう・たいが)1995年(平7)7月18日、名古屋市生まれ。小学1年からアクアFCでサッカーを始め、中学は名古屋グランパスU-15に所属。星稜では3年から正GK。今大会3戦連続無失点中。家族は両親、兄。181センチ、68キロ。血液型O。