全国高校サッカー選手権準決勝2試合が、明日11日に東京・国立競技場で行われる。2大会連続の4強入りを果たした星稜(石川)は、対する京都橘に対抗心をむき出し。ともに直前合宿を同じ静岡・御殿場で行い、練習場も宿舎もすぐ近く。ニアミスを繰り返す。大会直前までに2戦2敗を喫しているだけに、3度目の敗戦は許されない。

 火花はすでに散っている。星稜は雨中の御殿場で、約2時間半にわたって汗を流した。相手は前回準Vの京都橘。技術、戦術、メンタル、すべてにおいてきっちり調整した。MF寺村主将は「同じ相手に何度も負けられないでしょ」と対抗心をむきだし。昨年11月に練習試合で1-3、12月にはプレミアリーグ参入戦で1-5と大敗した相手だ。もう負けられない。

 奇遇にも、ともに御殿場で合宿を構える。9日の午後には、選手バスがすれ違うニアミス。会いそうで会わないその距離が、闘争心を一層駆り立てる。「もし食事会場で会うようなことがあったら、バチバチになりますよ。うまくずらしているみたいで、会いませんけど」と寺村主将。実際に食事は別々の場所でとり、練習場も天然芝と人工芝を合わせて12面もあるこのエリアでは、絶妙のタイミングでかぶらない。

 しかし11日に聖地を舞台にして戦う相手だ。「会っても『しゃべったらアカンやろ』と思いますしね」というのも、京都橘に最大の敬意を示しているから。初戦の一条戦では試合後に相手校から千羽鶴を渡された。「戦ってきた相手の人たちのためにも負けられない」。そうやって4強まではい上がってきた自負がある。

 準決勝から10分長くなって、90分の試合。それだけチャンスが増え、ピンチも多くなる。河崎監督は「お互い集中力を高めていくでしょう」。見応えが十分予想される緊迫のファイト。そのゴングが、もうすぐ鳴らされる。【栗田成芳】