日本(FIFAランク40位)がW杯ロシア大会出場決定後、初の国内試合を不完全燃焼のまま終えた。ニュージーランド(同113位)に2-1で辛勝したが、チャンスを外し続けるなど攻守に内容は乏しかった。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)は10日のハイチ戦(日産ス)も含め2試合とも交代6枠を使い切り、招集した24選手を起用する見通しだが、本大会を見据えたテストは「赤点」だらけのスタートとなった。

 シュートが入らない。後半42分。FW乾の左クロスをDF酒井宏が頭で折り返しMF倉田が頭でねじ込んだ。ようやく相手を崩しての得点。ハリルホジッチ監督が両腕を広げて喜んだシーンはこれだけ。「得点の機会はたくさん作った。今夜のゲームではたくさんのシュートを打ったが枠に行くシュートが少なかった。得点機会は10回はあった。ユウト(長友)のシュートも、どこかに飛んでいってしまった。今もボールを探しているんじゃないか」。水を飲み干してから苦笑まじりに吐き出した言葉が真実だった。

 ストレスのたまる展開。イライラは前半36分に早くも頂点に。FW武藤が倒された際、主審がプレーを止めなかったことに激高。蹴り出され目の前に転がってきたボールを革靴でピッチ内へ蹴り返した。フランスリーグで2度得点王になったキック力は65歳でも健在。「グラウンダーのいいボールが蹴れた。テクニックを見せたかったんだ」。第4審判から注意されて謝罪したといい、反省した。

 6大会連続のW杯出場を決め、本大会に向けたチーム作りは「第3段階」に突入。勝利を厳命した。ただ、皮肉にも61%もボールを支配したが、思うように点が取れない。格下相手に当然といえば当然だが、自身がメンバー発表会見で“否定”したポゼッション(ボール支配率)を重視する従来の日本スタイルの戦いになり、従来の決定力不足が目立ってしまった。

 勝利以外に、うまくいったのは規定の6人を予定していた時間に投入できたこと、その中で倉田やMF小林が存在感を示したくらい。試合全体では及第点に遠い。「シュートのところで焦るシーンがあった。最後の呼吸が大事。フッと息を吐き、止めて蹴れば落ち着いて蹴ることができる」。得点量産へ、必殺の呼吸法も明かしたが、会場では何度もため息が漏れた。

 後半5分にFW大迫がPKでようやく先制したが、最初「久保裕也選手です…」と得点者が間違ってアナウンスされるなど締まらなかった。会場の屋根は故障したまま。修理費用の問題もあり雨でも閉まらず寒かった。ハリルジャパンの試合も、締まらずお寒い内容だった。【八反誠】