日本(FIFAランク44位)が王国ブラジル(同2位)に前半だけで3失点し、敗れた。日本代表戦では初めて導入されたビデオ判定からFWネイマールに先制PKを食らい、立て続けに失点。後半17分にDF槙野智章(30=浦和)のゴールで一矢報いたが、力の差は歴然だった。

 試合は前半で終わった。日本は前半だけで3失点。後半から王国ブラジルは正GKアリソンを下げ控えGKを入れてきた。ここから完全な調整試合に。後半17分にDF槙野のゴールが生まれたが焼け石に水。一矢報いるのが精いっぱい。立ち上がり、ブラジルの圧倒的な迫力に立ち合い負け。ハリルホジッチ監督は「ブラジルを見て驚いてしまったのかもしれない」と言った。

 いきなりつまずいた。最新のビデオ判定で判定が覆り、DF吉田がPKを与えた。ネイマールが難なく蹴り込み先手を奪われた。予想外の失点でリズムが狂う。続くPKはGK川島が阻止したが、直後の左CKからこぼれ球をマルセロに豪快に蹴り込まれた。開始から17分で0-2。トドメは、カウンターから同36分にFWガブリエルジェズス。ハーフタイムを待たず試合は決した。

 会場のリールにはハリルホジッチ監督の自宅がある。“故郷”に錦を飾ろうという試合だったが赤っ恥。後半、選手交代を重ね、完全に流して試合を終えたい相手の効率的プレーがなければ、目も当てられない結果になっていた可能性もある。指揮官は直後のテレビインタビューで「後半、我々は勇気付けられた。後半だけなら我々が勝っていた」と言った。確かにスコアは日本の1-0だが、これで「勝った」とは。強がりならいいが、本気だった。

 会見でも「後半で過信しているわけではない。ただ前半が0-0なら偉業を成し遂げることができたかもしれない。後半は満足できる。ブラジルが世界一のプレーを見せなかったのは日本がいいプレーをしたからだ」。また、敗戦にもかかわらずハリルジョークも。「今日の試合はユート(長友)がキャプテンだから負けたんだ、私のせいではないと伝えました(笑い)」。国際Aマッチ100試合出場を祝い、主将を任せた男をたたえたジョークもキレがなく、笑えなかった。

 本大会まで7カ月。この差は埋められるのか。「このような試合から多くの結論が出せる」と言った指揮官が後半の内容に胸を張るなら、それは違う。このままならロシアでも、未勝利で終えた前回ブラジルの惨敗と同じ結果になる。【八反誠】