日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)がなでしこジャパンで世界を制した前監督の佐々木則夫氏(59=大宮トータルアドバイザー)にかみついた。19日、都内で取材に応じ、E-1東アジア選手権で1-4で惨敗した韓国戦後の同氏の評論に「真実ではない批判」と異を唱えた。前日18日の会見でも批判記事で気持ちに火がついたと語っていたが、さらに突っ込みピッチ外の“デュエル”(=決闘)が生じた。

 ハリルホジッチ監督の怒りは続いていた。けんかを売られたととらえた指揮官は黙っていられなかった。前なでしこの世界一監督にかみついた。

 「以前、女子の代表監督をしていて私の同僚だった方が、私を批判するというようなことがあったが、間違っている部分が。4-4-2にした方が良いと(批評されたが)私たちは2トップの4-4-2にしている、後半。真実ではない批判のされ方をした」

 名前こそ挙げなかったが、矛先が佐々木氏であることは明らか。同氏は17日付一部スポーツ紙でシステム変更を提唱し「ベンチの指示もなく、受け身のままだった」と評論していた。伝え聞いたこの意見がよほど気に障ったのか、前日18日の会見でも批判記事に奮い立ったと話し、さらに具体的に反論した。

 日韓戦のピッチで全く闘う姿勢をみせなかった選手、そしてそう導けなかった自分自身に、手本を示そうとしたわけではないだろうが、必要のない場面で選手に説き続ける“デュエル(決闘=球際の攻防)”を体現した形となった。

 もっとも、一時期は、同時に指揮を執った男女の代表監督の本気バトルに発展する可能性は低そう。「彼には女子サッカーで頑張ってもらいたい。これ以上は言いません」とチクリとやって、勝手に終わらせた。互いに勝負の世界で生きる元同僚。ノーサイドにしたいところ。

 W杯まで半年を切った。こんなところで戦いのエネルギーを使っている場合ではない。11年にドイツで女子W杯を制した佐々木氏も、きっとそう思っているはずだ。【八反誠】