日本代表の森保一監督(50)が、就任15戦目で初めて3バックを解禁した。サンフレッチェ広島時代に3度のJ1制覇を遂げたシステム。A代表では4バックを受け継いできたが、9月に始まる22年ワールドカップ(W杯)カタール大会アジア2次予選に向けて、トリニダード・トバゴ戦で解禁。令和の代表初戦としては0-0に終わったが、新たなオプションとして無失点の守備とシュート25本を放った攻撃への手応えを口にした。
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森保監督が代名詞の3バックを初導入した。中央に昌子、右に冨安、左に畠中とストッパーを並べ、長友と酒井が両ウイングバック(WB)として、より高い位置へ。攻撃時は両翼を広げて数的優位を生み、前半24分に右MF堂安、酒井とつないで1トップ大迫が右足シュート。後半17分にも左MF中島から長友経由で大迫にクロスが入った。得点こそ生まれなかったが、会見では自らシュート25本と持ち出し「今まで(4バック)と違う形で難しさがあった中、時間を追うごとに良くなって厚みのある攻撃ができた」と納得した。
広島監督時代に一貫して採用し、リーグ制覇3度のシステム。兼任するU-22代表(東京五輪世代)では基本の陣形だが、A代表は昨秋の初采配から伝統の4バックを踏襲してきた。就任15戦目で初解禁した理由について「ベースは4バック」とした上で「W杯予選が始まる前、最後の活動。ここで感覚的に覚えてくれればオプションになる」と2日間の非公開練習でコンセプトを提示して試した。
その中身は「WBは、守備では(下がって5バックとなり)スペースを消し、攻撃では幅を持って相手守備を分散させてほしい」。ボランチ出身で足元の技術が高いGKシュミットから組み立て、大迫への縦パスを起点に3バック以外の7人が敵陣に居続けた。ハーフタイムには「前線が下がるな。最終ラインが持ち上がれ」と指示して距離感を修正。「後半さらにチャンスをつくってくれた」と好機創出回数では圧倒した。
守っては完封。昌子はトゥールーズで今年1回しか3バックの中央を任されていないが、持ち前の声でラインを統率した。冨安はシントトロイデンで右ストッパーが定位置。慣れたもので、森保監督も「いい持ち上がりで起点になってくれた」と動きを褒めた。畠中も左の経験者。前半39分に鮮やかなインターセプトを決めるなど無難に締めた。
A代表が3バックに挑むのは、昨年5月のW杯壮行試合ガーナ戦以来。当時の西野監督が本大会に備えて準備も、0-2で敗れていた。今回も攻め倒しながら森保ジャパン初のスコアレスドローと課題は出たが、ゴール前を固めてくるアジア、体格で上回られる世界相手に逃げ切りたい時の選択肢になりそうだ。「今日のトライが今後につながると思う」と3バック習得のための併用も示唆。3年後のW杯へ、強化は第2ステージに入った。【木下淳】

