【アルラヤン(カタール)=佐藤成】3大会ぶり最多5度目の優勝を狙った日本(FIFAランキング17位)がイラン(同21位)に1-2で逆転負けし、準々決勝で敗退した。
92年以降では最悪タイとなる8強止まり。1次リーグ第2戦でイラクに1-2で敗れた因縁の地で、前回19年UAE大会は完勝した相手にリベンジを許した。性加害疑惑で主力MF伊東純也(30=スタッド・ランス)の離脱が決定した翌日、ドーハ近郊の悲劇が繰り返された。
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ピッチ外の雑音を振り払う…強さは、日本になかった。大会中に性加害疑惑が浮上した伊東が、大一番の前日にチームから離れて激震が走った。誰よりも走って右サイドを制圧してきた男の不在が、攻守に響く。ピッチ外の混乱をかき消すべく、もがき、力尽きた。
前半28分、先制はした。左サイドに開いてボールを受けたMF守田が、FW上田に預けて再び受ける。そのままDFを引き連れながらペナルティーエリアに進入し、倒れ込みながら右足で決めた。「作り」から「仕上げ」まで1人で担うスーパー弾で均衡を破った。
ただ、よどんだ周囲の空気を吹き飛ばせなかった。先月31日からチームは揺れに揺れた。同日に週刊誌で伊東の疑惑が報じられ、翌1日に伊東が離脱。選手たちは「純也と一緒に戦いたい」と反発する。山本昌邦団長らに掛け合い、決定を覆させた。「別にチームがバラバラになるわけではない。もともと目標はアジア杯で優勝すること」とMF遠藤。しかし、再協議の末に正式離脱。バーレーン戦から中2日でリカバリーに努めるべき局面で、ピッチ内外で、心身が消耗した。
試練は続いた。後半10分にショートカウンターから追いつかれた。DF板倉の裏を突かれ、防戦一方。相手の圧力に屈し、ラインが下がってセカンドボールを拾われた。冨安は「悪い時の日本が出た。熱量を感じられなかった」と勝ちへの執念の差を挙げた。それ以前に、球際への執着が足りずに5戦8失点で散った。
森保監督はカードを切り損ねた。三笘、南野は投入したものの、相手は22年W杯から17戦無敗の堅守の前に消えた。イラクに敗れた地で再び苦戦し、後半ロスタイムには板倉がPK献上。GK鈴木も止められず網が揺れた。指揮官は、精彩を欠いた板倉を下げられず、失点後にしか動けず「皆の努力を結び付けられず残念。交代カードを使い切れなかった」と後悔した。
被シュート17本は、A代表が参戦した92年大会以降の90分間ではワーストの屈辱だった。伊東問題に日本で決着をつけた後、弾丸で駆けつけた田嶋会長は言った。「アジア最強とか、浮かれていたらダメ」。目標はW杯優勝だったはずが、大陸8強止まり。三笘は「自分たちの実力が下と認めないと」。騒動の後だけに…逆境に抗えなかったチーム力が浮き彫りとなった。

