日本(FIFAランキング19位)のFW小川航基(28=NECナイメヘン)が「釜本超え」を果たした。パラグアイ(同37位)戦に1トップで先発し、前半26分に1ゴール。国際Aマッチ通算11試合目で2桁10得点に到達し、1966年(昭41)のFW釜本邦茂の12試合目を抜く歴代最速となった。8月10日に81歳で亡くなった伝説のストライカーの追悼マッチで記録を塗り替えた。試合は後半追加タイム4分のFW上田綺世(27=フェイエノールト)の同点弾で2-2の引き分け。14日にはブラジル(6位)と味スタで対戦する。
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釜本さんの魂が乗り移ったかのような、力強すぎる弾道だった。0-1の前半26分、前線からの素早い切り替えでボールを回収すると、小川が約20メートルの距離から右足を振り抜く。無回転のブレ球は1度は相手GKにはじかれたが、強烈なスピンがかかって戻り、ゴール枠内に吸い込まれた。
「名波コーチから『振れるタイミングで振るように』と言われ続けていた。どんな形でもゴールにねじ込むことは意識していた」
節目の一発を、これ以上ないタイミングで決めた。8月10日に亡くなった元日本代表FW、日本最多のAマッチ75得点を誇る釜本さんが、かつて監督したG大阪の本拠。献花台が設置され、黙とうもささげられた後に決めた。そのレジェンドでも2桁ゴール到達は12戦目だった中、小川は11試合目で。59年ぶりに伝説の系譜を更新した。「悪くない数字。自分は試合数はあるかもしれないけど、分数で言ったら、たぶんそんなに重ねていない中で決定力というのは見せられているかな」と胸を張った。
磐田(当時J1)入団時にスタッフからかけられた言葉がある。「釜本さんをお前は超えられる」。世代的にプレーは見たことがなく、ピンと来なかった。それでも76戦75発の数字から偉大さを感じ取る。「釜本さんを超えたわけでも得点数を上回ったわけでも、何ものでもない。ここからだと思う」と満足感はない。
進化を示す最速2桁でもあった。ペナルティーエリア内の得点感覚に優れ「ワンタッチのゴールが自分の売り」。クロスに合わせるヘディングなどに自信を持ち、強みを生かしてW杯北中米大会アジア最終予選はチーム得点王の4得点。それでも1トップの序列1番手、上田の牙城を崩せていなかった。そこで示した長距離砲で、新たな一面を披露。「(上田に)負ける気はない」としつつ「ストライカーが2人で取れたのはチームとして大きいし、より一層気が引き締まる」。途中交代で劇的同点弾を奪ったライバルとの熾烈(しれつ)なエース争いが日本を高みに導く。【佐藤成】

